山梨県南巨摩郡富士川町にある『道の駅 富士川』。現在、隣接して中部横断自動車道の増穂パーキングエリアが建設中で、完成時はハイウェイオアシスの機能を担うことが予定されています。駐車場73台・農産物(特産物)販売コーナー・物品販売コーナー・レストラン・展望台・多目的広場等を備えています。
この施設では、地下水が地中熱を利用した冷暖房に利用されている他、トイレ・芝生などの散水・非常時の防火水槽・手押しのポンプ等に利用されています。水温は、年間を通じ16度前後。ここで掘削される地下水の水質はこのまま飲んでも問題ないほど良い水で、大腸菌も無く、
飲食で使いたいほどとのこと。(実際は規定量の塩素を入れなくてはならない為、手間がかかり使用していない)
ヒートポンプへの不純物の付着を防ぐためビッグポールが取付けられています。
萩原ボーリングの中澤さんは、「井戸を2本堀り、どちらかが必ず稼働して水槽の中へ水を送るようになっています。ビッグポールを通って水槽へ入り、水槽から各ヒートポンプへ水を送って熱だけ取った水がまた水槽へ戻ります。熱だけを回収し、冷暖房に使っています。水槽の温度が低い時期だと、水温が下がって来るので、別の井戸から水を送り一定の水温を保つシステムになっており、溢れた水も別の井戸に送られ、水位が下がると、水が足されるというサイクルで動いています」
「昨年の7月から装置が動きはじめて半年になります。ここで初めての冬を越すことになりますが、冷暖房に使われる電気代は、通常の電気設備から算出すると半分近く削減しているという数字が出てきており、順調に推移しています」
「道の駅の裏側では、グランドゴルフができるようになっていて、競技も行っています。夏場は芝生にこの水で頻繁に散水をしました。また、観光バスが停車するとトイレを頻繁に使用することになりますが、地下水を利用しているので、水道代もかからない事もこのシステムの大きなメリットです」
萩原ボーリングの地中熱装置にビッグポールを取付けたシステムはここが初めてで、ヒートポンプの不純物の付着防止や、熱効率など大幅な経費削減に大きな期待が出来そうです。
『道の駅富士川』の建築デザインは、藤村式建築を用いています。明治7年から20年までの間に山梨県で盛んに建てられた洋風建築ことです。これは山梨県だけにある呼び名で、日本の西洋化の時代背景の中で育まれました。
【2015年通巻100号掲載】